はじめに
IRON FinanceのIRONステーブルv2の仕様が出たので、IRON発行に必要な資金の計算方法をまとめました。
英語のMedium読むのをためらっているけど、IRONが気になる人に役立てばと思います。
IRONの発行のために最低限把握しておくべきことは、発行額の10%はICEが必要になること、残りの90%の担保に使えるのはICEの他に、USDC、USDT、BTC、ETH、MATICということです。
注意点としては、IRON発行のために担保に出した資産の清算リスクがあること。
また、資金効率は悪いので、見かけのAPRよりも低くなります。
IRONの発行に必要な資金の計算方法を正しく理解してIRON祭りに備えましょう。
IRONステーブルv2の概要
今度のIRONステーブルコインの概要を要約するとこんな感じです。
- ステーブルコインは8月の開始予定
- 過剰担保、ソフトベック対応
- IronSwap+IronLendの統合
- 担保の一部はICEが必要
デザインの概要がIron FinanceのMediumに出ています。
IronLendで担保に入れて、IRONを発行(借りる)というイメージです。
IronLendはすでに開始されていて、操作的にはBSCのVenusに近いんじゃないかと思います。
前回はUSDCとTITAN(今回のICE)でIRONを発行していたのに対して、今回は発行に使える通貨が多くなっていますね。
IRON発行の際の注意点
IRONを発行する場合、注意する点は以下の2つです。
- 発行額の10%のICEが必要になる
- 残り90%の担保に使えるICE、USDC、USDT、BTC、ETH、MATICそれぞれに担保係数(Collateral Factor)が決められている。
まず、IRONを発行するには、10%のICEが必要になります。
また、残りの90%の部分は現時点で以下の通貨で、担保係数がそれぞれ決まっています。
担保係数は言い換えると担保率の上限です。
- ICE:20%
- BTC:65%
- ETH:65%
- MTIC50%
- USDC:75%
- USDT:75%
資産価値が下がって担保率の上限を超えると、貸し出した資産が清算されるので、担保率の上限以下で発行する必要があります。
担保率の上限ギリギリで発行していると、担保に出した資産が下落すると清算されるリスクがあるので、仮に担保率の上限の90%に抑える場合、ICEだと、20%*90%=18%、USDTだと75%*90%=67.5%まで発行することが可能です。
$100のIRONをICEとUSDTで発行する場合
ICEとUSDTで$100分のIRONを発行する例をまとめました。
必要なICEの金額
まず、$100のIRONを発行する場合、その10%=$10のICEが必要です。
ただし、ICEの担保率の上限は20%で、その90%のICEをIRONに使う場合、実際に担保に入れるICEの18%(=20%*90%)をIRONに使用することになります。
IRONの発行に必要な$10のICEが18%になるICEは$55.6(=10*1/0.18)です。
必要なUSDTの金額
次に、$100のIRONを発行するための残りの90%=$90の担保は、USDC、USDT、BTC、ETH、MATICであればなんでもいいことになっています。
例えば、USDTで残りの$90を借りる場合、USDTの担保率の上限は75%なので、その90%をIRONに使うとすると、実際に担保に入れるUSDCの67.5%(=75%*90%)をIRONに使用することになります。
IRONの発行に必要な$90のUSDTが67.5%になるUSDTは$133(=90*1/0.675)です。
IRONを発行するために必要な資産のまとめ
$100のIRONを発行するためには、ICE $55.6とUSDT $133の合計$188.6が必要になります。
仮にIRONのAPRが100%だとすると、運用するIRONは$100でも、実際には$188.6が必要なので、実際のAPRは53%(=100*(100/188.6))になってしまいます。
(IRONとしては188.6%の過剰担保)
IRONの高いAPRに期待しがちですが、実際の運用効率をあらかじめ知っておく必要は重要ですね。
ちなみに、ここではICEとUSDTの担保率の上限に対して90%でIRONを発行する想定で計算したので、より安全に運用するには、担保率の上限に対してより低い割合でIRONを発行する必要が出てきます。
次の表では、担保資金に対する発行可能な割合を、各通貨の担保率の上限に対する割合別にまとめました。
通貨 | ICE | BTC | ETH | MTIC | USDC | USDT |
担保率の上限 | 20% | 65% | 65% | 50% | 75% | 75% |
担保率の上限に対して90% | 18% | 58.5% | 58.5% | 45% | 67.5% | 67.5% |
担保率の上限に対して80% | 16% | 52% | 52% | 40% | 60% | 60% |
担保率の上限に対して70% | 14% | 45.5% | 45.5% | 35% | 52.5% | 52.5% |
担保率の上限に対して60% | 12% | 39% | 39% | 30% | 45% | 45% |
担保率の上限に対して50% | 10% | 32.5% | 32.5% | 25% | 37.5% | 37.5% |
例えば、BTCの担保率の上限は65%で、この担保率の上限に対して80%の場合、担保に入れたBTCの52%をIRON発行の資金として扱うことになります。
次の表では、$100のIRON発行に必要な各通貨の評価額を、担保率の上限に対する割合ごとにまとめました。
通貨 | ICE | BTC | ETH | MTIC | USDC | USDT |
担保率の上限 | 20% | 65% | 65% | 50% | 75% | 75% |
担保率の上限に対して90% | $55.56 | $153.85 | $153.85 | $200 | $133.33 | $133.33 |
担保率の上限に対して80% | $62.5 | $173.08 | $173.08 | $225 | $150.00 | $150.00 |
担保率の上限に対して70% | $71.43 | $197.8 | $197.8 | $257.14 | $171.43 | $171.43 |
担保率の上限に対して60% | $83.33 | $230.77 | $230.77 | $300 | $200 | $200 |
担保率の上限に対して50% | $100 | $276.92 | $276.92 | $360 | $240 | $240 |
例えば、担保率の上限に対して80%でIRONを発行する場合、ICEは$62.5、BTCは$173.08を担保にする必要があります。
USDCやUSDTはステーブルコインなので、価値は変動しないと想定すると、担保率の上限に対する割合は80-90%と高くても良いかなと。
一方、BTC、ETH、MATICは価格が下落することと想定しておくことが必要になります。
バブルが弾けた時なんかは、BTCは半値になったりもしますから、万が一の安全を見越すなら担保率の上限に対して50%くらにしておく必要がありそうです。
まとめ
IRONか開始されると、現在のIronSwap 3pool(USDC+UUSDT+DAI)にIRONを加えて4poolになるようですね。
また、IRON単品ステーキングも予定されています。
4poolとIRON単品ともに報酬はICEです。
これから始まるIRONに関して、実際の運用効率をあらかじめ知っておく必要は重要です。
ステーブルコインを担保にするなら、比較的安全に運用できそうな一方、BTC、ETH、MATICは安全に運用するには資金効率は下がりそうですね。
投資は自己責任で。
追記
こちらの記事でIRON発行に必要な資金をわかりやすくするために図解しました。
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