はじめに
DeFiをやっていると変動損失(Impermanent Loss)という難しい単語が出てきて思考停止になっていませんか?
変動損失はイールドファーミングをやってると最低限知っておくべき知識だといずれは気づくはずです。
すでにイールドファーミングをやってるけど、まだ変動損失について理解していないなら早めに把握しておいた方がいいです。
この記事では変動損失について基本を簡単にまとめたのでDeFiで仮想通貨(暗号資産)を運用する際の参考になればと思います。
流動性マイニングの変動損失とは
変動損失(Impermanent Loss)とは、簡単にいうと流動性を提供した場合と、提供せずにホールドしていた場合の価格の差を指します。
例えば、PancakeSwapで流動性を提供して手数料報酬をもらって運用するよりも、単にホールドしていた方が得だったという事態です。
なぜこのようなことが起きるかというと、貸し出した通貨ペアのレートは変動するけど、提供した先の「流動性プールの流動性は一定に保たれる仕組み」になっているのがその原因です。
「流動性プールの流動性は一定に保たれる仕組み」とは、例えばETHとDAIの流動性プールの場合、「ETHの量×DAIの量」が一定に保たれることを意味しています。
「ETHの量×DAIの量」が一定に保たれるため、ETHとDAIのレートが変化すると損失が出る場合を変動損失といいます。
変動損失の具体例
言葉だけの説明ではわかりにくいので、数値を使って具体的な例で説明しますね。
例えば、ETH-DAIの流動性を提供する際、その比率は1:1になります。
具体的には、流動性の提供時のレートが1ETH-100DAIであれば、1ETH:100DAIの比率で提供することになります。
ここで、1ETH:100DAIで流動性を提供した場合、ドル建て価格は合計200ドルとなります。
(100DAI=100ドル、1ETH=100ドル、合計200ドル)
そして、提供した先の流動性プールの合計が仮に10ETH:1000DAIだった場合、1ETH:100DAIで貸し出した割合は流動性プール全体に対して10%になります。
次に、レートが変わって1ETH-400DAIになったとします。
すると、流動性プールはその流動性を保つため、合計は5ETH:2000DAIとなります。
このレートで提供した流動性(ETHとDAI)を引き出す際、提供した流動性の割合は流動性プール全体に対して10%だったので、引き出せるのは0.5ETH:200DAIとなります。
このきのドル建て価格は合計400ドルです。
(200DAI=200ドル、0.5ETH=200ドル、合計400ドル)
貸し出した時のドル建て価格は200ドルで、引き出した時のドル建て価格は400ドルなので、200ドルのプラスになったことになります。
一方で、流動性プールにETHとDAIを貸し出さずに単純にホールドした場合はどうでしょうか。
レートが1ETH-100DAIだったものが、1ETH-400DAIになったので、
200ドルが500ドルになったことになります。
したがって、ホールドするだけで500ドルになっていたのに、預けると400ドルにしかならないことになります。
この500ドルと400ドルの差が変動損失になります。
変動損失の早見表
では、具体的にレートが変化した際にどのくらい変動損失が発生するのかが気になりますよね。
この辺りは、ちょっとした算数の計算が必要になります。
詳しく説明しているサイトからその内容を引用すると以下のようになります。
- 1.25倍(125%)の価格変動 = 0.6%の損失
- 1.50倍(150%)の価格変動 = 2.0%の損失
- 1.75倍(170%)の価格変動 = 3.8%の損失
- 2倍(200%)の価格変動 = 5.7%の損失
- 3倍(300%)の価格変動 = 13.4%の損失
- 4倍(400%)の価格変動 = 20.0%の損失
- 5倍(500%)の価格変動 = 25.5%の損失
価格変動が高いほど変動損失も高くなります。
なお、価格変動はプラス(1倍以上)を想定していますが、価格がマイナスになった場合には単純にホールドしていた場合の価値の下落に加えて、変動損失が上乗せされるので注意が必要です。
変動損失(縦軸)と価格変動(横軸)は以下のようなグラフになります。
マイナスの場合(グラフ横軸の100%以下の範囲)は変動損失が急激に上昇しますね。
最後に
流動性マイニングでは、手数料報酬を別途得ているはずなので、手数料報酬が変動損失を超えていれば最終的に利益を得ることができます。
また、変動損失はレートの変動が元となっているので、価格の変動が少ないか、ほとんどない通貨ペアであれば変動損失を抑えることができることがわかりますね。
価格変動がほとんどない通貨ペアとしてはステーブルコイン同士が考えられます。
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