【Terra】Kujira ORCAの概要とその利用方法を解説(Anchorの清算botの仕組みを理解する)

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はじめに

Kujira ORCAはTerraのAnchorで精算される担保資産に入札できるプラットフォームです。

精算効率botとも言われています。

正直、Kujira ORCA(以下、Kujira)の仕組みは難しいです。

私も初めはまったく理解できませんでした。

一方でKujiraの仕組みを理解すると、その価値の大きさに気付きます。

投資家にとってKujiraのメリットは2つあります。

  • USTの借り手として、担保資産が清算されるときに損失を抑えられる
  • USTの入札者として、市場の下落局面で清算される担保の入札で収益を得られる

AnchorでLUNAやETHを貸してUSTを借りている場合、清算されると最大40%の損失が生じますが、Kujiraなど清算人が存在することで、清算される資産の価値は40%よりも少なくて済む仕組みになっています。

また、入札者として担保資産の清算に入札すると、市場価値よりも安く資産(bLUNAやbETH)を得ることができます。

担保資産の清算は市場が下落する方向のときに起きやすく、そのような局面でも利益を出せるKujiraは投資家として非常に大きな武器になります。

この記事では、Kujira ORCAとAnchorの概要を説明して、実施にKujiraを利用する方法を解説しました。

ファーミグとは違った仕組みで収益を出したいと考えている人の参考になればと思います。

なお、Kujiraを利用するにはTerraのウォレットアプリが必要です。

Terra Stationウォレットをインストールする方法をこちらの記事で紹介しているので、参考になればと思います。

Anchorの概要

まず、Anchorの解説です。

Anchorはユーザーが担保として資産を提供することで、お金を借りることができるプラトフォーム。

簡単に言うと、手持ちのLUNAやETHをAnchorに預けるとステーブルコインのUSTを借りることができます。

具体的には、LUNAやETHをAnchorに貸し出す際、預かり証としてbLUNAやbETHを受け取ります。

このbLUNAやbETHをAnchorに担保として差し出すと、その資産価値の最大60%(担保率60%)までのUSTを借りることができるという仕組みです。

例:100ドル相当のETHをAnchorに預けて、代わりに受けとったbETHをAnchorに担保として差し出すと、最大60USTまで借りることができる。

ここで、預けた担保資産のLUNAやETHは価格が変動しますよね。

一方のUSTはドルに連動していているので価格の変動はありません。

なのでLUNAやETHの価値が下がると、借りたUSTの担保率が上昇し、担保率60%を超えると担保資産が清算されることになります。

清算された担保は、入札を通じてUSTに変換され、そのUSTは清算された借り手のローンの返済に使用されます。

なお、清算された価値の1%が手数料としてAnchorの利回り準備金となります。

例:100ドル相当のETHを預けて、60ドルのUSTを借りていた場合で(担保率60%)、ETHの資産価値が下がり90ドル相当に下落すると、ETHに対して借りている60ドルのUSTは担保率66.7%となり60%を超えるので精算されることになる。

ここまでがざっくりしたAnchorの仕組みです。

Kujiraの概要

次にKujiraの説明に入ります。

Kujiraは清算効率化botと言われています。

つまり、Anchorの清算の入札を一般ユーザーでも行えるようにしてくれる効率的なbotです。

具体的にはKujiraはユーザーから集めた資金でAnchorに清算の入札を行います。

Anchorは、担保資産を精算する際、すぐに売る必要があるので、市場価格よりも安い価格で資産を売却するようになっています。

このAnchorが売る価格と市場の価格の差がプレミアムになります。

Anchor側が設定しているプレミアムは0〜30%で1%刻みです。

(Anchorが売る価格で安く手に入れることができるので、プレミアムという表現になっています)

Kujiraを利用する入札者(Kujiraのユーザー)が設定できるプレミアムは1〜30%です。

言い換えると、市場価格の1〜30%を割引いた価格で入札できると言うことです。

実際には、入札者はKujiraの任意のプレミアムのプールに自分のUSTを入れる形になります。

そして、精算が発生すると、プレミアムが低く設定されているプールの資金から精算が実行され、精算された担保はプールの入札者に均等に配分されます。

これだけだとイメージがつきにくいので、具体例を示して説明しますね。

  • まず借り手が100ドル相当のLUNAをAnchorに預けて、bLUNAを受け取る。
  • 次に借り手は、bLUNAをAnchorに預けて、Anchorから60ドルのUSTを借りる。
  • 入札者は、30%のプレミアムプールに100ドルのUSTを入れる(入札)。
  • LUNAの価値が下落し、借り手の100ドルだったbLUNAが95ドルの価値になり、担保率が60%を超える。
  • 精算が開始しされ、入札が行われる。
  • 借り手の95ドル相当の担保資産bLUNAがプレミアム30%で清算され、入札者は66.5UST(95ドルの30%割引)を支払ってbLUNAを受け取る。

最終的にAnchor、入札者、借り手の手元に残るのは以下の通りです。

  • Anchor:借り手のbLUNAを「売る」ことによって、貸していた60USTを取り戻す。
  • 入札者:66.5USTを支払い、95ドル相当のbLUNAを受け取る。
  • 借り手:借りていた60USTを手に入れたが、bLUNAは戻ってこない。

上でも書いた通り、設定できるプレミアムは1〜30%です。

実際には、精算が発生するとプレミアムの低いプールの資金から精算が実行される仕組みなので30%よりは低い直になります。

実際にKujiraを覗いてみると、4〜11%が多くなっています。

仮に、5%のプレミアムで精算されると、入札者は95ドル相当のbLUNAを受け取ることができ、借り手は40%の損失を受けるところを入札者(Kujira)が存在することで5%の損失で済むことになります。

Kujiraは借り手と入札者の両方にメリットをもたらしてくれるんですね。

ちなみに、Kujiraの収益源は2つです。

1つ目の収益源は、入札者が得た担保資産をKujiraから引き出す際のWithdraw feeです。

これは、引き出す資産の1%となっていて、KujiraのガバナンストークンKUJIで支払うと0.5%に割り引かれます。

2つ目の収益源は精算発生時に1%の手数料が発生しています。

入札者としては合計2%(あるいは1.5%)の費用がかかるので、プレミアムは2%より高いプールへ入札する必要があることになります。

(追記)

精算時に発生する1%の手数料はAnchorの手数料でしたので修正します。

Kujiraを使う際の注意点としては、清算が発生してbLUNAを受け取っても、さらにそこから価値が下がると入札に支払った元本以下の価値になる可能性があることです。

そもそも、清算が発生するのは担保資産の価値の下落局面なので、市場としてはマイナス方向に進んでいるはずです。

なので、利益を確保するためにはすぐに価値が安定しているステールブルコインへスワップする必要があります。

例えば、5%のプレミアムで入手した場合、すぐにUSTなどのステーブルコインにスワップしないと、bLUNAが5%以上下落するとプレミア分の利益が吹き飛んでなくなってしまいます。

この点については、Kujiraが自動でUSTにスワップして、そのUSTで再度入札する仕組みが予定されているようです。

そうすると、すぐにスワップするという手間がなくなり、便利になりますね。

また、今はUSTでの入札だけですが、ガバナンストークンのKUJIをStakeすることで、aUSTでの入札もできるようになるみたいです。

aUSTはAnchorでUSTを預けたときに受け取る預かり証のようなトークンです。

Anchorでは、USTを預けるとAPY19.5%で運用できます。

言い換えるとaUSTが利回りAPY19.5%の資産ということです。

aUSTがKujiraの入札に使えるということは、Anchorに預けたUSTの利回りを得ながら、Kujiraの入札もできることになります。

なお、aUSTで入札する場合はの手数料は4.5%で、KujiraのネイティブトークンのKUJIをStakeする量に応じて入札できるaUSTも増えて、5000KUJIで無制限になるようです。

Kujira ORCAの利用方法

ここからは、実際にKujiraで入札する手順を解説します。

入札するにはUSTが必要なのであらかじめTerraのウォレットに準備してください。

日本円からTerraへUSTを送金する経路をまとめると以下のようになります。

  • 国内取引所で仮想通貨(XRPなど)を購入する
  • 仮想通貨を海外取引所の口座へ送金する
  • 海外取引所で仮想通貨をUSTにスワップする
  • TerraへUSTを送金する

海外取引所のBinanceからTerraへ送金する画面はこんな感じです。

MEMOは空欄で大丈夫です。

また、他のネットワークからUSTを持ってくる場合、基本となるのはTerraBridgeです。

その他、クロスチェーンDEXアグリゲーターRangoを使うといろいろなネットワークから資金を持ってくることができるので検討してみてくださいね。

TerraでUSTが準備できたらKujira ORCAにアクセスしてウォレットを接続します。

サイトは見慣れないレイアウトになっているので、初めは戸惑ました。。。

右上に大きく表示されている青色の棒グラフ(Pool Value in UST-Premium)はプレミアムプールごとに入っているUSTを示しています。

どのプレミアムに多くの資金が入っているかがわかります。

真ん中の下向きの赤色の棒グラフ(Times emptied-premium)はプレミアムプールが空になった回数を示しています。

入札が通りやすいプレミアムプールの参考になるのかなと。

入札の設定はサイト右側にあります。

Collateral Markeは、この記事を書いている時点で、bETHとbLUNAが選択できます。

(今後、aUSTも追加される予定)

今回はbETHを選択して、Premiumは5%、入札額は860USTとしました。

最後に手数料に関する注意書きに✔️を入れて、「Place My Bid」をクリック。

Terra Stationウォレットで「Post」をクリック。

トランザクションが通るとサイトの下の方にあるMy Bidsに取引が追加されます。

入札は10分間はReady状態になり、Bid Statusでカウントダウンが表示されます。

10分経つと「Activate」ボタンが表示されるので、クリックします。

Terra Stationウォレットで「Post」をクリック。

トランザクションが通ると入札がAcitveになり手続きが完了です。

なお、入札が通るかその都度Kujiraを見にくるのは面倒なので、Dale the Mail Whale(@DaleMailWhale)の通知を設定をしておくと便利です。

通知をONにするにはプロフィール画面の鈴マークにチェックを入れてくださいね。

今回入札した取引はまだ収益を得られるところまでは行っていないので、動きがあれば追記したいと思います。

最後に

Anchorの精算を利用して収益を得るKujiraについて解説しました。

投資家にとってのKujiraの価値は2つです。

  • USTの借り手として、担保資産が清算されるときに損失を抑えられる
  • USTの入札者として、市場の下落局面で担保が清算される入札で収益を得られる

Kujiraの仕組みは難しいですが、価値のあるプラットフォームとうこがご理解いただけと嬉しいです。

ちなみに、KujiraはTerraのbLUNAやbETHだけでなく、SolanaのbSOLも予定されているみたいですよ。

Terra以外のネットワークでも広がっていく仕組みになりそうです。

なお、Kujiraのガバナンストークンの入手の仕方や運用の方法はこちらの記事で紹介していますので、参考になればと思います

投資は自己責任で。

NFA

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コメント

  1. クリリン より:

    分かりやすくまとめていただきありがとうございます!!
    理解力の悪い私でも一度読んだだけで理解できました。

    ちなみに、他のチェーンでもTerraの鯨に該当するサービスはあるのでしょうか。もしご存じ出たら教えていただけませんでしょうか。