イーサリアム入門:ビットコインとの違いとスマートコントラクトの可能性

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1. イーサリアムの基本概要

1-1. ビットコインとの違い

ビットコインは「通貨として機能すること」を主眼に開発されましたが、イーサリアムは「通貨機能だけでなく、さまざまなアプリケーション(スマートコントラクト)を動かすためのプラットフォームを提供する」ことを目的として誕生しました。

ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれることが多いのに対し、イーサリアムは「世界の分散型コンピュータ」というイメージで語られることがあります。

1-2. 誕生の背景

イーサリアムは、ロシア系カナダ人のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏らによって、2015年に正式にローンチ(稼働開始)しました。
「ビットコインのブロックチェーン技術を応用して、より複雑なプログラムをブロックチェーン上で実行できるようにしたい」という発想が原点です。

2. イーサリアムの仕組み

2-1. ブロックチェーンとスマートコントラクト

イーサリアムもブロックチェーン技術を基盤としており、世界中のコンピューターがネットワークに参加して取引を承認・記録します。
ビットコインと大きく違うのは、「スマートコントラクト」という仕組みを導入していることです。
スマートコントラクトとは、「あらかじめプログラムされた条件が満たされたら、自動的に契約を実行する仕組み」のこと。
たとえば、ゲームのアイテムや証券取引、保険の自動支払いなど、さまざまな用途に利用できます。

2-2. 通貨(イーサ)の役割

イーサリアムのネットワーク上で使われる通貨(暗号資産)のことを「イーサ(ETH)」と呼びます。
スマートコントラクトを動かしたり、取引手数料(ガス代)を支払ったりする際に、イーサが必要になります。
つまり、ビットコインが「送金・保有するためのお金」として使われるのに対して、イーサは「イーサリアム上のサービスを利用するための燃料(手数料)」としての側面が強いのです。

2-3. 供給量とインフレ

ビットコインには「発行上限(2,100万BTC)」がありますが、イーサリアムにははっきりとした固定上限が設定されていません。
ただし、イーサリアムでは「バーン(焼却)メカニズム」やステーキング報酬の調整などで、供給量が抑制される仕組みが導入されています。
また、ビットコインと同様に国がコントロールしているわけではないため、法定通貨のように「必要に応じて大幅に刷る(増やす)ことで価値が薄まる」という状況は起きにくいとされています。
一方で、時期やアップデートの内容によってはイーサの発行ペースが変わることもあり、ビットコインほど「硬い上限」があるわけではありません。

2-4. コンセンサスアルゴリズム(PoWからPoSへ)

ビットコインは「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」という仕組みでマイニングを行い、新規発行や取引承認をしています。
イーサリアムは元々PoWでしたが、2022年9月に行われた大きなアップデート(The Merge)により、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」へ移行しました。
これにより、マイニングに膨大な電力を使わず、イーサを「ステーク(預け入れ)」している保有者が取引の承認を行う方式へ変わっています。
これによって、ビットコインよりも省エネでの運用が可能になったと言われています。

3. イーサリアム(イーサ)を保有するには

3-1. 取引所で購入

ビットコインと同じように、国内外の仮想通貨取引所で口座を開設し、日本円やドルを入金してイーサ(ETH)を購入します。
例: bitFlyer、Coincheck、Binance など。

3-2. ウォレットで管理

イーサやビットコインなどの暗号資産全般を保管するために「ウォレット」が必要です。
イーサリアム独自のウォレットとしては、「MetaMask」というブラウザ拡張やスマホアプリが有名です。
ハードウェアウォレットやペーパーウォレットで保管することもでき、秘密鍵の管理方法はビットコインと共通しています。

4. イーサリアムがもたらす可能性

4-1. NFT(Non-Fungible Token)

イーサリアム上でのスマートコントラクトの仕組みを活用して、ゲームアイテムやデジタルアートなどをNFTとして発行・取引することができます。
ビットコインにはもともとこうした仕組みがなく、イーサリアムが急速に注目された要因のひとつです。

4-2. DeFi(分散型金融)

銀行などの中央管理者を介さずに、資金の貸し借りや交換ができる「DeFi(ディーファイ)」の多くはイーサリアム上で展開されています。
世界中の誰でもインターネットにつながっていれば金融サービスを利用できるため、金融のあり方を変える可能性があると期待されています。

4-3. DAO(分散型自律組織)

スマートコントラクトを使って、組織運営を自動化し、参加者同士が議決しながら運営していく仕組みのことをDAOと呼びます。
イーサリアムのプラットフォーム上で多くのDAOが生まれ、投資やコミュニティ活動を行っています。

5. イーサリアム保有時の注意点

価格変動が大きい

ビットコイン同様、イーサも時価総額が大きくなってきたとはいえ、法定通貨ほど安定しているわけではありません。
ニュースや規制、アップデートの内容によって大きく値動きすることがあるため、無理のない範囲で投資しましょう。

ガス代(手数料)の変動

イーサリアム上で取引やスマートコントラクトを実行する際には「ガス代」という手数料が発生します。
ネットワークが混雑していると、このガス代が高騰し、手数料が高くなるケースがあるため注意が必要です。

セキュリティと法的規制

ウォレットや秘密鍵をしっかり管理し、2段階認証などの対策を行いましょう。
どの国でも規制が進んでいる分野なので、日本の税制や法律などをチェックすることが大切です。

アップデートの影響

イーサリアムは、今後も大規模なアップデート(例:シャーディングの導入など)が計画されています。
技術的な変更がトラブルなく進むかどうか、また価格にどう影響するかは注意して見守る必要があります。

6. まとめ

イーサリアムは、「ビットコインのように送金や保有ができる暗号資産」でありつつ、それだけにとどまらず「スマートコントラクト」の仕組みを活用して、ゲームや金融サービス、NFTなど幅広い分野に応用できるプラットフォームです。

ビットコインは「デジタルゴールド」、イーサリアムは「世界の分散型コンピュータ」と呼ばれ、それぞれ特徴が異なります。

供給上限が明確に決まっていない点や、アップデートによって仕組みが変化し続ける点に注意しながら、イーサ(ETH)を保有・利用することになります。

もし興味があれば、まずは少額からビットコイン同様に取引所の口座開設をして購入し、ウォレットに移すなどの管理方法を学んでみると良いと思います。

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