最近、とある分野で交渉術が1つのスキルになるということを聞いて、交渉術に関する書籍を興味深く読んでいます。
交渉術は釣りに全く関係ないと思っていたんですが、最近読んでいる交渉術に関する書籍「影響力の武器」で紹介されている「返報性のルール」が普段の釣り場でよく見かける会話に組み込まれていると気づきました。
この「返報性のルール」とは「他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、自分は似たような形でそのお返しをしなくてはならない」とうルールです。
人間文化のなかで、最も広範囲に存在し、最も基本的な要素となっている規範の一つだそうで、意識せずに働いているルールです。
「影響力の武器」で「返報性のルール」について記載されている箇所をもう少し引用してみました。
このルールは、他者から与えられたら自分も同じようなやり方で相手に返すように努めることを要求する。
返報性のルールは行為の受け手が将来それに対してお返しをすることを義務付けるので、人は自分が何かを他者に与えてもそれが決して無駄にならにと確信できる。
このルールに将来への義務感が含まれることによって、社会にとって有益な様々な持続的人間関係や交流、交換が発生することになる。
したがって、社会の全構成員は、このルールを忠実に守るべきこと、守らないと重大な社会的不承認を被ることを子供の頃からたたき込まれる。
この「返報性のルール」、実は凄まじい力を持っているようです。
このルールに従うと、親切や贈り物、招待などを受けると、その恩恵を与えてくれた人に対して将来お返しをせずにはいられない気持ち(義務感)になるとうことです。
このルールは社会の善意がうまく回るようにできたルールなのですが、目的を持った人、悪意をもった人がこのルールを利用すると人を操ることもできるようです。
なぜなら、このルールは、望みもしない厚意を最初に相手から受けた場合にも適用されてしまうからです。
また、恩義を受けっぱなしにしているという不快な感情を取り除こうとして、人は受けた親切へのお返しに、それよりもかなり大きな頼みを聞いてしまうことが多いそうです。
営業をされている方なら有名な話としてご存知なのかもしれませんね。「影響力の武器」では販売のセールスでよく使われていることが紹介されています。
何気ない釣り場の光景にも「返報性のルール」が潜んでいるのかもしれないと感じたのは、幾度となく釣り場で耳にする以下のような会話の中です。
釣り人Aが一人で釣りをしていると、そこへ少し離れた場所で釣りをしていた見ず知らずの釣り人Bが挨拶をしてきました。2人は同じ釣法を楽しんでいます。
釣り人B:こんにちは、今日は釣れませんね。そちらはどうですか?
釣り人A:釣れませんねぇ。
釣り人B:あ、これ挨拶替わりにどうぞ。
釣り人A:ありがとうございます。
その後、たわいもない話をして2人の釣り人はそれぞれの釣りに戻ります。
釣りが終わって、帰宅準備をしていると、また釣り人Bが釣り人Aに話しかけます。
釣り人B:今日は全然でしたね。
釣り人A:そうですねぇ。
釣り人B:よくここには来られるんですか?最近はどうですか?別に釣れる場所はありますか?
私の経験では釣り人2人の話はそこそこに盛り上がると思います。もしかしたら釣り場の情報をお互いに交換するかもしれませんね。
ほとんどの釣り人は親しみを込めて挨拶や情報交換を行うと思うのですが、もし相手から情報を入手しようという明確な目的を持っていた人(今回の場合は釣り人B)が上記のような会話を行った場合、一見何気ないやりとりと思っていても返報性のルールが働き、釣り人Aは釣り人Bに必要以上の頼みごとを聞いてしまう可能性があることに気づきました。
きっかけは缶ジュース。これを釣り人Aが受けると返報性のルールが働き、釣り人Bに恩を返さざるえなくなります。
釣り人Aが返すものとしてジュース以上の価値があるものは必要ないのですが、もしかしたら釣り人Bの問いに対してとっておきの釣り場情報や釣り方を伝えてしまう可能性を秘めていると思いました。
ルールを知っているか、知らないか。交渉術はそれを知っている人に有利に働きます。
普通は仲の良い間柄の人間関係や交流に役立つ「返報性のルール」なのですが、目的を持った人が使うと交渉に使用されてしまいます。
「影響力の武器」を読んで、釣り場の何気ない会話の中にもしかしたら人を動かす交渉術が潜んでいるのかもしれないと感じました。
ちなみに、「影響力の武器」では「返報性のルール」を利用したセールスへの対処法も紹介されています。
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