『Hyperliquid』とは?仕組み・メリット・使い方を初心者向けに解説

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1. Hyperliquid とは?

1-1. 概要

Hyperliquid は、いわゆる「CEX(中央集権型取引所)のような高速・低遅延な注文処理」を目指す、分散型のデリバティブ取引所です。

dYdX や他の L2 ベースのデリバティブ DEX と似たコンセプトを持ちつつ、より高いスループット(処理能力) と 低いレイテンシ(遅延) を追求している点が特徴です。

1-2. DeFi 業界での位置づけ

DeFi(分散型金融)の分野では、現物取引 に特化した Uniswap や SushiSwap のような DEX が普及し、さらに近年は レバレッジ取引 や 先物取引 を扱う DEX も増えてきました。

その中で Hyperliquid は、プロトレーダーが使う CEX に近い取引体験(オーダーブック形式、高速約定など)をブロックチェーン上で実現しようとしている新興プロジェクトとして注目されています。

2. Hyperliquid の仕組み

2-1. オーダーブック型 DEX

多くの分散型取引所は AMM(自動マーケットメイカー) 方式を採用し、ユーザーが流動性プールにトークンを預け、スワップを行う仕組みが一般的です。

一方、Hyperliquid はオーダーブック方式(買い板・売り板があり、注文を出し合う形式)を採用しているので、トレーダーが指値注文などを細かく設定できます。

CEX さながらの取引所画面を提供することで、「分散型なのに高速で滑りにくい」という体験を目指しています。

2-2. L2または独自チェーンの活用

高速処理を実現するため、イーサリアム L1 にすべての取引を記録するのではなく、オフチェーンや L2(レイヤー2)の技術を組み合わせています。

プロジェクト独自のチェーン(あるいは ZK ロールアップ等)を利用し、定期的にイーサリアムへ取引の要約を送ることで、イーサリアムのセキュリティを継承しつつ、高速・低手数料を実現する仕組みとされています。

これにより、サーバーが一元管理する中央集権モデルではなく、分散された環境での高性能なトレードが可能となるわけです。

3. Hyperliquid の特徴

  • 超高速・低遅延なトレード体験
    オンチェーン取引で課題となるガス代や処理速度を大幅に改善し、CEX に近い安定稼働を目指している点が大きな強みです。
     
  • オーダーブックモデル
    Uniswap 型の AMM とは違い、注文板にオーダーを出す形式なので、テクニカル分析や指値注文を細かく行いたいトレーダー向けです。
     
  • フル自己管理(ノン・カストディ)
    分散型取引所のため、資金を中央管理者に預ける必要がなく、ウォレットを接続して使う自己管理型です。
    ハッキングや破綻による資金ロックなどのリスクが軽減されますが、秘密鍵の管理は自己責任となります。
     
  • レバレッジ/デリバティブ取引
    永久先物など、レバレッジ取引が可能なデリバティブ商品を中心に提供予定(または提供中)とされています。
    価格変動が激しい分野のため、リスクとリターンの両面で注意が必要です。

4. Hyperliquid の使い方(一般的な流れ)

  1. ウォレットの準備
    MetaMask 等のイーサリアム対応ウォレットを用意します。
    プロジェクト独自のチェーンや L2 を利用する場合、ウォレット設定や専用のブリッジが必要になることがあります。
     
  2. 資金の入金(ブリッジ)
    イーサリアム L1 や他チェーンの資金を、Hyperliquid の L2 または独自チェーンにブリッジする手順を踏みます。
    初回のブリッジ時には、メインネットのガス代がかかるため要注意です。
     
  3. 取引ペアを選択し、注文を出す
    対応するペア(例:BTC-USD、ETH-USD など)を選び、指値注文や成行注文を行います。
    レバレッジ取引の場合は、証拠金維持率に注意が必要です。
     
  4. 出金(資金を戻す)
    取引で得た残高を再度ブリッジしてイーサリアム L1 へ戻すことができます。
    出金時にもガス代が発生する可能性があるため、コスト計算を忘れずに。

5. メリット・デメリット

5-1. メリット

  • CEX 並みの高速取引
    一般的なオンチェーン DEX よりも約定スピードが速く、トレーダーにとっては有利に取引ができる可能性があります。
     
  • 自己資産のコントロール
    取引所に資産を預けず、ウォレットを通じて自分で管理できる点は大きな魅力です。
     
  • 分散型の透明性
    取引ロジックはスマートコントラクトで公開されていることが多く、不正や資金ロックリスクが中央集権に比べて低いとされています。

5-2. デメリット

  • 新興プロジェクトゆえのリスク
    プロジェクト自体の実績やセキュリティが十分に検証されていない可能性があります。
    監査や評判、ユーザーコミュニティの声などをよく確認する必要があります。
     
  • ブリッジリスク
    L2 や独自チェーンへの入出金にはブリッジが必要で、ハッキング事件の事例もゼロではありません。
     
  • 規制・法的リスク
    デリバティブ取引は国や地域によって規制が厳しく、将来的に利用制限がかかる可能性があります。
     
  • 自己責任の運用
    すべての操作(秘密鍵管理、リスク管理など)はユーザー自身が行うため、CEX よりも難易度が高い面もあります。

6. 今後の展望

Hyperliquid は、まだ情報が多くはありませんが、「分散型と高速・本格的なトレーディング体験の両立」という課題に挑む注目プロジェクトのひとつです。

今後、取り扱い銘柄の拡充やユーザー数の増加などを通じて、流動性や機能性が強化されるかどうかが成功のカギとなるでしょう。

dYdX や他の L2 型デリバティブ DEX との競合が激化しつつあるため、ユーザーインセンティブや独自機能の充実が期待されます。

一方で、分散型取引所のなかでも高リスクなデリバティブ分野であることを踏まえ、資金管理やセキュリティ対策を慎重に行うことが大切です。

7. まとめ

Hyperliquid は、高速オーダーブックと L2 技術(または独自チェーン)を組み合わせることで、CEX に近いトレーディング体験を目指す 分散型デリバティブ取引所 です。

レバレッジ取引が可能なため、ハイリスク・ハイリターンの可能性がある一方で、自己資産を自分で管理する分散型ならではのメリットもあります。

新興プロジェクトであるがゆえに、利用前には公式情報や監査、コミュニティの評判をよく調べ、少額で試すなどのリスク管理を心がけましょう。

DeFi の世界では、今後も多様な DEX が登場し、高速化・多機能化 の流れが加速する見込みです。

Hyperliquid を含め、技術的進歩とリスクの両面を理解しながら、自分に合ったプラットフォームを探してみると良いでしょう。

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