更新日:2019年11月4日
1. はじめに
紀州釣り(団子釣り)を初めてもうすぐ約8年が経とうとしています。
一時期、週1回は団子を投げていましたが、最近は月3回といったところです。
1年を通して団子を投げ続けて、少しずつ経験を積んできました。
自分の経験をこれから紀州釣りを始める方へ還元できればと思い、入門記事を書いていこうと思います。
その第一弾が紀州釣り団子の作り方。
紀州釣りを始めるにあたって、初めの難所となるのがなんといっても団子の作り方。
私も初めは団子の材料さえわからない状況から始めました。
ネットで調べたり、釣具屋で粉物コーナーへ行ってみたり。
自己流でやっていた時は団子が空中分解したり、着水しても海底まで届かなかったり。
海底まで割れない団子を作れたと思ったら、今度はいつまでたっても割れない団子だったり。
幸いに私の場合はとどやんさんという師匠に出会うことで比較的早く自分に合った団子を作ることができたのではないかと思います。
紀州釣りの団子作りは奥が深く、海の状況、餌取りの有無によって必要な団子の質が変わってくるので、経験がある人ほど上手いのが実際のところです。
しかし、初めにどのような材料を使って、どうやって団子を作ればよいかを知っているだけでも上達は早いです。
そして、同じ団子をいつも作れるようになることが
紀州釣り上達への近道です。
これから紀州釣りを始めたいという方に少しでもこの記事が役立てばと思います。
2. 団子の材料
私が使用する団子材料はヌカ、細びきさなぎ、チヌパワースペシャルMP、押し麦、砂、アミエビ、海水です。
この他にも団子用の材料は売っていますが、紀州釣りを1日中やるための量を用意するとなると、
今回ここで紹介する材料を使った方がコストパフォーマンスは高いです。
2-1. 団子材料の割合
団子材料の個々の説明と混ぜる順番については後で記載しますが、バッカン1杯分の紀州釣り団子の分量は以下の通りです。
ちなみに1カップ=1Lで計量しています。
- ヌカ:8カップ
- 細びきさなぎ(2kg):1/2袋
- チヌパワースペシャルMP:
1/3袋1/4袋 - 押し麦:1/2袋
- 砂:
4カップ2カップ - アミエビ:
1/2ブロック1/4ブロック - 海水:適量(0.5〜1カップ)
2019年7月:配合比率を最新に更新しました。
夏場はこの量を最大2回、冬場は1回作ります。
団子のサイズが小さければ必要な材料の量も変わってきますが、基本の分量はここの数値で変更なく作っています。
紀州釣り団子を紹介している他のサイトを拝見していると、分量は人それぞれ違うようです。
ここに示した分量にこだわる必要はないのですが、分量を決めたら慣れるまでは変えないで何回か作ってみることをおすすめします。
2-2. ヌカ
団子材料のベースとなるものです。
お米やさんで安く売ってくれますが、近くの農協やホームセンターの駐車場などにある精米機で無料で入手できます。
街中を注意深く観察していると、道路脇に設置されているのを意外と多く見つけることができると思いますよ。
確実なのは各地の農協の建物です。
ここにはほぼヌカボックスが設置されているので、近くにヌカボックスが見当たらない場合は地図で農協を探して行ってみてください。
私は農協横にあるヌカボックスを1つ、予備として大手ホームセンターのヌカボックスを1つを見てまわることにしています。
また、ヌカを回収するタイミングですが、土日に精米される方が多いので、日曜日の午後に多くヌカが溜まっています。
2-3. 細びきさなぎ
さなぎは基本となる集魚材です。ぜひ入れてください。
細びきさなぎは、マルキューとダイワが出していますが、マルキュー(写真)が比較的安いです。
どちらも使って見ましたが、釣果に差はないです。
マルキュー製の方が混ぜやすくていい感じです。
ダイワ製は真空パックになっているので、コンパクトですが、袋から出した後にバラバラにするのに手間がかかります。
細びきさなぎの兄弟で荒びきさなぎがあり、こちらは名前の通り、粒が荒いのでバラけが早くなる特徴があります。
初めのうちは細びきさなぎを使って、しっかり割れない団子を作り、慣れてきたら荒びきさなぎを試してみてください。
バラけ方の違いを実感できるはずです。
ちなみに団子材料に粘り気が出すぎた場合、応急的にさなぎを入れると、粘り気を抑えることができます。
2-4. チヌパワースペシャルMP
通称MP。定番の集魚材です。
私はこのチヌパワースペシャルMPをフカセ釣りの時から使用しています。
入れる目的は集魚効果に加え、なんといっても粘りを出すためです。
入れすぎるとやり直しがきかないくらい粘りが出るので、分量は決まった量にしておいた方が無難です。
2-5. 押し麦
押し麦は白色の粒がヒラヒラと舞って、視覚的な集魚効果を狙います。
釣ったチヌの胃袋から押し麦が大量に出てくるのは有名な話です。
押し麦は粘りがないので、入れすぎると団子のバラけに影響しますので注意してください。
2-6. 砂
ここまで書いたヌカ、細びきさなぎ、チヌパワースペシャルMP、押し麦だけでは比重が軽く、団子が海底に着くまでに時間がかってしまいます。
比重が軽く落下スピードが遅いと、ボラの餌食になったり、潮の流れに乗りやすくなるので、
団子を安定して海底まで届けるために比重を重くする必要があり、そこで砂を入れます。
砂はホームセンターに売っている「砂」を使用しています。
「砂」はほとんどの場合、園芸コーナーの奥の方に置いていることが多いです。
重いのでカートに乗せて、車で持って帰る形になります。
「砂」は海から採取されたものなので、環境負荷は低いと思います。
一方、砂浜の砂は目が細く握りやすいですが、場所によって比重が軽い砂があるので注意が必要です。
人口の砂浜から砂を取ると砂泥棒になるかも?
また、エサ屋さんの脇に砂を提供しているところがあるので、利用できるならタダで砂が入手できます。
この場合、粒子の大きな砂が混ざっているので、ふるいを持参して大きな粒子は除いておくと団子を握りやすくなります。
砂の粒子の大きさや重さも団子の質に大きく影響するので、初めはできるだけ同じ条件の砂を用意することをお勧めします。
2-7. アミエビ
集魚効果と粘りを出すために入れます。
集魚効果としては最強なのではないでしょうか。
ただし、入れすぎると団子が柔らかくなって着水時に割れたり、逆に粘りが出すぎて着底後もずっと割れなくなるので分量には注意が必要です。
夏場の餌取りが多い時には餌取りを寄せすぎてしまう理由からアミエビを入れない方もおられますが、私の場合は必ず基本の分量は入れることにしています。
2-8. 海水
アミエビで足りない水分を海水で調整します。
最後に入れる海水の量が団子の出来に大きく影響しますので、初めは少しずつ入れて、団子の締り具合を確認しましょう。
人によって握力の違いがありますから、海水の量は人によって異なります。
3. 材料を混ぜる順番
材料を混ぜる順番も重要です。
一気に全ての材料をバッカンに入れて混ぜてしまうと、水分が多いアミエビがダマになり、均一に混ざらず大変なことになってしまいます。
まず、バッカンへヌカ、細びきさなぎ、チヌパワーMP、押し麦、砂の順に入れて均一になるように素手でかき混ぜます。
手が汚れるからといって横着をすると混ざりが足りずムラができると、割れやすい団子になったり、逆に割れにくい団子になったり、
団子の硬さにもムラができるので、気合を入れて時間をかけて混ぜてください。
私は現地でバッカンの中で混ぜていますが、釣友の中には家で混ぜてくる方もいますので、自分にあったタイミングでここまでの作業を行ってください。
均一に混ざったら、次はアミエビです。
アミエビは一度に必要量を入れず、少しずつ混ぜながら入れると、ダマにならず均一に混ぜることができます。
アミエビがダマになっていると、団子が割れやすくなるので注意が必要です。
最後に海水で水分を調整して完了です。
団子の水分量は人それぞれですが、私の場合は「パサパサ」してるけど少し「しっとり」している程度に海水を入れます。
この感覚を覚えるのに時間がかかると思いますが、繰り返し団子を作っていると、
どのような団子が良いかがわかってきます。
4. 団子の握り加減
次に重要なのが団子の握り加減です。
まず、このように団子を手にとって、その上に刺しエサをおきます。
同じ量の団子材料をもう片方の手でこの上からかぶせて団子を握っていきます。
ここで大切なのは団子が海底まで届くようにしっかり握ることです。
団子が海底に着くまでに割れていないかを確認する方法はいくつもありますが、タナをトントンに合わせて、
ラインがなじんだら寝ウキが水面に立っている状態であることを確認するのが一番確実です。
まずは、海底まで団子が割れないようにしっかり握りましょう。
握る回数を数えても良いですし、団子の硬さを確認しながら握っても良いと思います。
団子を海底まで持っていくことができたら、次はバラけの段階です。
団子がバラけるスピードは団子の大きさ、粘りよって変わりますし、潮の流れの速さや餌取りの多さによっても影響されます。
初めは団子が着底してから同じスピードでバラけさせることができるように団子を作ることが大切です。
夏場は餌取りが多く、ボラが団子にあたってくる場合があり、こうなると団子が海底に届く前に割れてしまうことがあります。
団子が着底する前にボラが団子に当たってきたら、力一杯に団子を固くして着底前に割れないようにしてください。
ボラのアタックが始まったら、その後ろにチヌが控えていますよ。
5. 団子の大きさ
団子の大きさは人それぞれですが、私の団子の大きさはこのくらいです。
大きい団子は手のひら全体を使えるので握りやすく、小さい団子は指で握るイメージなので握り難くいです。
初めは大きくてもいいので、しっかり握って、海底まで割れない団子を作ることが重要です。
慣れてきたら少しずつ小さくすれば良いと思います。
小さい団子ほど遠投が容易になります。
また、同じ硬さであれば大きい団子はバラけが遅く、小さい団子はバラけが早いです。
経験上、大きい団子だからよく魚が集まって、よく釣れるということはないです。
それよりも、団子が落下していく状態や、着底してからのバラけのスピード、団子を落としている配置などが釣果に影響します。
6. まとめ
紀州釣りの団子作りは奥が深くて、数回作っただけでは思うような団子を作れないかもしれません。
安心してください。
みんな初めは団子の空中分解を繰り返しています。
ちょっとした分量の違いで団子の硬さは変わり、潮の流れの速さや、餌取りの有無でもバラけスピードが変わってしまいます。
外的要因にも大きく影響されるので、団子を作るときは同じ材料、同じ分量で
いつも同じ団子を作れるようになることが、上達への近道です。
もし海の中で団子がどのような動きやバラけ方をしているか、どうしても見たいと思ったら、このDVD「チヌ紀州釣りREAL」をお勧めします。
紀州釣りの名手である永易さんが実際に団子を投げて、その団子を海の中から撮影しています。
海の中の団子の様子を一度見ると、実際に釣りをしているときにイメージが湧きやすいですよ。
私も団子作りはまだまだ修行中です。
この記事がこれから紀州釣りを始めるの方の助けに少しでもなれば幸いです。
紀州釣りをこれから始めたい時に、参考となる記事をこちらで紹介しています。
紀州釣りの釣行記一覧はこちらからどうぞ。
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