あなたが、金銭的な自由を手に入れたとき、
巨万の富を得てもなお、幸福になれないとき、
あなたに残っているのは、
どんな悩み、
どんな不自由でしょう?
それは対人関係です。
では、対人関係のなにが、われわれの自由を奪っているのか?
それはいわゆる「承認欲求」です。
対人関係の悩みは、ここに集約されます。
アドラー心理学では、他者から承認を求めることを否定します。
たとえばあなたが職場でごみ拾いをしたとします。
それでも、周囲の人々はまったく気づかない。
あるいは、気づいたとしても誰からも感謝してもらえず、
お礼の言葉ひとつかけてもらえない。
さて、あなたはその後もごみを拾い続けますか?
ごみを拾うのは「みんなのため」
みんなのために汗を流しているのに、
感謝の言葉ひとつもらえない。
だったらやる気も失せる、と感じていませんか?
承認欲求の危うさは、ここにあります。
適切な行動をとったら、ほめてもらえる。
不適切な行動をとったら、罰せられる。
アドラーは、こうした賞罰による教育を厳しく批判しています。
「ほめてくれる人がいなければ、適切な行動をしない」、
「罰する人がいなければ、不適切な行動もとる」というのは、
誤ったライフスタイルです。
あなたは、あなただけの人生を生きています。
誰のために生きているのかといえば、無論あなたのためです。
自分のために生きていないのだとすれば、
いったい誰があなたの人生を生きてくれるのでしょうか。
われわれは、究極的には「わたし」のことを考えて生きている。
そう考えてはいけない理由はありません。
他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、
最終的には他者の人生を生きることになります。
「嫌われる勇気」より。
対人関係から自由になるには、
まず、承認欲求を否定しなければなりません。
釣り場で落ちているゴミを拾うのは、
褒めてもらうためではありません。
そして、釣りで魚を釣るのは、
誰かに認めてもらうためでもありません。
もし、自慢するために釣りをしているなら、
その釣りは、自分のためではなく、
他人のためにしていることになります。